匠ブログ

エベネッザ・ハワードの田園都市構想

近代的な住宅地開発計画を最初に提唱したのが、英国人のエベネッザ・ハワード(1850−1928)です。

産業革命により19世紀の英国では、都市部の過密化と農村の過疎化が急速に進行し、多くの社会問題が露呈していました。 そこでハワードは、両者の融合を図った独自の都市構想を『Garden City(田園都市)構想』と呼び、1902年に『Garden City of Tomorrow=明日の田園都市/長 素連訳(鹿島出版会)』という書として発表し、世界中にセンセーションを与えました。

ハワードが描いた理想郷は、100年経た現代でも十分通用する合理的で機能的な都市構造で、自然や緑をふんだんに人々の日々の生活へ導入するものです。

この『田園都市構想』は、パートナーであるレイモンド・アンウィンらとともに、実際に ロンドン郊外のレッチワースからハムステッドに至る地帯に応用されました。現在この地域は、開発当初からの植栽が豊かに生育することで醸成され、ロンドン 市民憧れの高級住宅街として畏敬を抱かれています。

日本でも、渋沢栄一・秀雄父子らが、この思想に基づいて洗足田園都市や田園調布等を相次いで開発しました。しかし残念ながら、これらの『和製田園都市』は、当初から本場の『田園都市』とは似て非なる代物でした。一体何が問題だったのでしょうか。来月へ続きます。


デザイナー 小野清一郎 2013年1月14日 デザインについて一覧

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