匠ブログ
扉の高さ
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室内の天井高について以前書きましたが、今月は扉の高さについてお伝えしたいと思います。私は従前より、現代の住宅には 3m以上の天井高が望ましい、という主張を繰り返してきました。そしてその天井高に見合う扉には高さが2.4m必要です。一昔前の日本の扉は6尺高(約 1.8m)が標準でした。昭和に建設された公団住宅等ではその名残が今でも観察できます。
日本人の男性の平均身長が既に170cmを超えていますので、これでは生活自体に支障を来します。そこで、公団の規格は2mに変更され現在に至っています。
欧米でも2mの扉をよく見ます。弊社が扱うアメリカの扉も6フィート8インチ(6’8”=2032mm)高のものが主流で した。過去形で述べたのは、丁度公団の6尺高のように、欧米では既に2m(6’8”)高の扉が時代遅れになりつつあるからです。最近の建材ショーやシアト ルの『Street of Dreams』等のショーケースを観察すると、欧米のこれからの主流が2.4m(8’0”)高であることが容易に想像できます。
この動き、実は最近の日本でも見られるようになってきました。建材メーカーが各社2.4m高の扉を発表し、好調な売れ行きです。
2mの扉と2.4mの扉とではさほど大きな価格差はありませんが、その開放感と高級感は驚く程違います。天井高の号で書いたとおり、人間は物体と頭部との距離に非常に敏感だからです。扉が高い分、扉上の下がり壁が頭部から遠ざかるので、実に気持ちのよい空間が感覚できます。
デザイナー 小野清一郎 2012年11月1日 デザインについて一覧