匠ブログ

資産価値を持続させるための秘訣

これまで資産価値を持続させる要素として、流行を追わない普遍的意匠の重要性を強調してきましたが、私なりには次の6つの原則を意識して設計しています。

1. トラディショナル・スタイル(クラシック・スタイル)の踏襲

2. フレキシブルな間取り

3. 3m以上の天井高

4. 2.4m以上の開口(扉・窓等)高

5. ファサードの絶対的な確保

6. ローカルスタンダードな建材の採用

これらのルールを遵守しなければ、美しい街並や景観を創造することはできない、と私は確信しています。毎度申し上げているとおり、美しい街並、美しい建築は、経年しても人々の高い評価を必ず得ることができるからですが、今回は5.ファサードの絶対的な確保についてお伝えしたいと思います。

ファサード(Facade)とは、建物の正面玄関を含む面のことで、英語のFace(顔)と語源を同じくするフランス語由来の言葉です。『建物の顔』と定義してもよいくらい建築デザインには重要な要素です。

このファサードは家のどの位置に来るべきでしょうか?

答えは接道面。つまり道路に面するような位置です。『顔』と呼ばれるくらいですから、通りすがる人々や車両の方に面してい なければならないのです。ところが、我が国ではそっぽを向いてしまっている家が非常に多いのです。人間でいえば、絶えず真横を向いて他人と会話しているよ うなもので、不自然極まりない状態です。

大きな寺社仏閣は長い参道の果てに本殿がどっしりと構え、荘厳な佇まいですが、この本殿が、90度回転していたらどうで しょうか? 非常に不自然で滑稽な状況なのが容易に理解できると思います。建築物は必ず然るべき建立方向が存在する、というのが私の信念です。寺社仏閣の 本殿のファサードが参道に対峙し、その内部にも参道の果てを見据えるように仏像らが安置されているのが、設計者の意図であり、宇宙感をも暗示する哲学的で 人間らしい自然な姿です。一般住宅でもそれは同じです。玄関、つまりファサードが接道面に存在しなければならないのは、鉄則中の鉄則だと私は確信していま す。次のA~Dの4枚の写真はとある街の風景です。4つの画像はそれぞれほんの数ブロックしか離れていませんが、それぞれに写っている家々の玄関の位置に 着目してください。AとCの家々はファサードをしっかり接道面に設定して建てていますが、BとDの家々はすべて接道面を無視して建てています。

どちらの街並が美しいと感じられるでしょうか? また言い換えるなら、どちらの街並が人々に好感を抱かれるでしょうか? そして家を買うならどちらの街並の家を買いたくなるでしょうか?
その答えが資産価値の高さの裏付けになります。

A B
C D


デザイナー 小野清一郎 2013年4月1日 デザインについて一覧

輸入住宅のことならV.D.H.にお任せください。

設計にお困りの方もV.D.H.におまかせください。