匠ブログ

リノベーション実例報告シリーズ第1弾 その5

昨年秋より連載している、築40年以上のマンションをリノベーションした実例報告の最終回です。今回は、いよいよ水回り編です。

 

まずは国産のユニットバスを、VDH流にアレンジしてみましょう。原状は次の画像のとおりです。通常のホテルタイプのユニットバスですが、こうしてみるとユニットバスのデザインって、昔からあまり進化していませんね。

 

before
こちらが工事後の画像です。それなりに可愛い雰囲気に作り替えることができました。この造作では、新品のユニットバスを入れ替えるよりも安価に仕上げることができました。

 

after

 

そしてあの昭和レトロのキッチンを、改めてアップでよく見て頂きましょう。あの頃はこういう感じが普通でした。「三丁目の夕日」的な要素は何なのか、気づいた点を挙げてみると、

・フロアーキャビネットの低さ
・キャビネットの引手のデザイン
・レンジのダイヤルや引手のデザイン
・レンジフードのスイッチ形状とエンジ色のパネル
・水栓金具のデザイン
・紐スイッチが垂れ下がった蛍光灯
・蛍光灯下のオープン棚
・ステンレスのキッチンパネル

といったところが、古さを醸し出しているようです。さらにこの写真では、花柄の給湯ポットや炊飯器やオレンジ色の乾燥カゴなどがよりいっそうレトロ感を強調していますが、これらはキッチン自体の問題ではないので、無視して考えてください。

 

after
さて、工事後はこんな感じです。

after
御覧のとおり、キャビネットの扉やノブ、水栓金具のデザインは、とてもクラシックです。さて、40年後にこのキッチンはどのような印象になるでしょうか?想像してみてください。
恐らく、その頃最も時代遅れ感を醸し出すのは、レンジのパネル部分とレンジフードだと予測します。キャビネットや水栓金具はもともと古めかしいデザインな ので、よりアンティーク感をまとうようになると思います。しかし、レンジとレンジフードは現在のカタログ商品なので、40年後は、原状の昭和40年代のレ ンジらと同じ運命を辿ることになるでしょう。

私がいつもデザインに対して考えていること、それは、最先端でモダンなデザインは、そのときその一瞬が最先端なのであって、デザインの寿命は極めて短いの に対し、クラシックなデザインはいつまでもクラシックで、古くなる程アンティークやビンテージといった、昇華された価値を得ることができるということで す。


デザイナー 小野清一郎 2014年2月1日 リノベーションについて一覧

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