匠ブログ

ファサードの方向性1

建築物の街への帰属性において、私はファサードに絶対的な法則・条件があるものとして設計しています。それは、このブログでも重々申し上げているとおり、「接道に対して正面を向きなさい。」ということです。

欧米は現在でもこの法則に則って家々や街全体が設計されています。かつての日本もそうだったのですが、残念ながら我が国の「近代建築」においてはそのルールはすっかり破壊されてしまいました。「自由」の名の下に「美」を構築する秩序が破壊されてしまっている現状には本当に憂いを感じます。

さて、今月もケーススタディを紹介したいと思います。
現場は古都・鎌倉の、とある閑静な高級住宅街です。昭和40年代に建てられた住宅を取り壊し、二世帯住宅を建築したいとの御要望です。原状の古屋の画像がこちらです。

古屋

撮影方向は西から東。つまり接道は土地の西側で、通りは南北に走っています。ところがそれだけではなく、この現場は北側にも接道している角地だったのです。少し退いた地点からの画像がこちらです。

古屋

画像だけではイメージしにくいかもしれませんので、俯瞰できるよう地図も紹介致します。

地図

現地調査の結果、問題点を次のように抽出致しました。

① 古屋躯体は敷地内で南面し、玄関のあるファサードと思しき立面にはファサードとしての配慮が認められない。
② 太い通りで主たる接道である西側には周囲とは異質の外壁が設けられ、さらに裏口のような小さな階段までもが設置されている。
③ 角地であるにもかかわらず、北側の接道に対する配慮は一切見受けられない。

ファサードの絶対条件を満たしつつ、以上の問題点を解決していこうと思います。来月に続きます。


デザイナー 小野清一郎 2014年6月24日 リノベーションについて一覧

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