匠ブログ
輸入建材のミスマッチ利用法
新年、明けましておめでとうございます。2016年、平成28年がスタートしました。今年も皆様にとって素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
さて、今年最初のブログですが、本日は、輸入建材と国産の建材の使い分けについてお話ししたいと思います。
次の画像の中で輸入建材は、扉、収納折戸、廻り縁、ケーシング、巾木のみです。これに対し、ブラインド、天井クロス、壁クロス、床材が国産建材です。
このうちブラインドは、その機能的なデザインから世界中どこの国の製品でも同じようなものです。したがって、わざわざ海外から輸入するメリットがないため国産品で対応しました。
また、天井と壁のクロスや床材も特殊なものでなければ、国産品で十分対応可能です。
次の画像はさらに複雑で、インターフォン、壁スイッチ類、照明器具、壁紙、床材(クッションフロアー)、水栓金具が国産ですが、扉、ドアノブ、奥にチラッと見えている収納折戸、そしてバスローブフックとタオルリングがアメリカ製、正面壁のモザイクタイルはイタリア製、さらにミラーキャビネットと洗面台はスウェーデンの物です。ずいぶん多国籍でインターナショナルな空間ですが、これといって違和感はありません。
ところで、いま「インターナショナル」と申し上げましたが、日本語ではさまざまな国籍が入り混じったような印象を受けますが、英語で「international」というと少しニュアンスが異なります。英語では「無国籍な」といった、国籍のアイデンティーが一切ないような状態を意味することがあります。日本語の印象とは全く逆ですね。次の画像はミニマリズム・デザインの国産キッチンですが、こういった無味乾燥な意匠も「international」ということになります。
国産のキッチンの中からInternationlなデザインの物を選択することで、北米的でクセのある意匠の巾木やケーシングと合わせても違和感が感じられません。上手くミスマッチしました。
古めかしいブリックの壁とアメリカのモールディング(巾木やケーシング等)がクラシックな雰囲気を漂わせていますが、そんな空間に真新しい真っ白なキッチンを配しました。新旧という時間の流れのミスマッチも図ることで、意匠面のミスマッチ感をさらに増幅させています。
このように一見テイストの異なる建材でも上手に組み合わせると、ハッとするような空間アクセントを得られることがあります。日本の建材はシンプルなデザインの物が多いのに対し、アメリカの建材はデコラティブで派手ですので、本来は相対するはずなのですが、場合によっては美しく融合させることが可能です。最近はこういう冒険的なコーディネートもしばしば試みています。
デザイナー 小野清一郎 2016年1月1日 デザインについて一覧