匠ブログ

鎌倉の又吉歯科医院様 3

鎌倉市にある又吉歯科医院様の報告です。

前月に他社様の設計が杜撰であることをお伝えしましたが、具体的に何が問題なのかを今月は指摘したいと思います。

先ずは西面です。こちらが他社様の設計案です。

この設計案について、私がお施主様へお伝えした問題点は次のとおりです。

A.ファサードへの配慮に欠け、かつ、将来の漏水事故が懸念される屋根収め

B.ファサードの対称性を阻害する新設壁

C.対称性を欠いた屋根収め

D.意匠の審美性を欠いた屋根収め

E.対称性を阻害するように配置された新設壁

F.ファサードの審美性に一切配慮されていない開口部(窓)

そこで私が提案した改善案が、こちらです。

両者を左右に並べて比較してみます。


次に北面です。

この案における私が指摘した問題はこれらです。

A.ファサードへの配慮に欠け、かつ、将来の漏水事故が懸念される屋根収め

B.ファサードの対称性を阻害する新設壁

C.対称性を欠いた屋根収め

D.意匠の審美性を欠いた屋根収め

G.意匠の審美性が劣る開口部

これらに対処する私の修正案がこちらです。

両者を左右に並べて比較しましょう。


東面は建物裏面にあたり、修正はいたしませんでした。

最後は南面ですが、こちらが他社様のプランです。

この設計での問題点がこれです。

H.構造上疑義が生じる開口部

私の修正案です。

両者を並べて比較しましょう。


特にAの問題点は極めて深刻だと考えます。この設計を行った一級建築士の先生を訪ね、「屋根をそのまま突き
つけていますが、どのように接合するのですか」と質問させていただいたところ、「突きつけてシリコンでコーキングする予定です」との回答を得ました。これには驚きました。シリコンの耐久性については、さほど期待できないことが半ば常識なので、当然、直下の居室に漏水することが懸念されます。それについても質問させていただきましたが、言葉を濁され明確な回答は得られませんでした。

木造住宅にとって水は大敵です。雨仕舞いについて配慮に欠けた杜撰な設計がなされたことには、本当に驚きました。

来月は室内設計の問題について言及していこうと思います。問題だらけのケースでした。


デザイナー 小野清一郎 2019年8月1日 リノベーションについて一覧

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