匠ブログ

鎌倉の又吉歯科医院様 4

引き続き、鎌倉市にある又吉歯科医院様の報告です。

先月は立面図の問題点を挙げましたが、今月は間取りを平面図から検証してみましょう。問題のある他社さんの計画がこちらです。

この設計案について、私がお施主様へお伝えした問題点は次のとおりです。図中に示すとおり、黒線は既存の壁です。灰色線が撤去される壁で赤い線が新設される線です。

そこでお施主様には、この設計について私が問題だと感じた箇所を抽出し、丸印で示しました。それがこちらです。

とにかく醜悪な設計であることに間違いはありません。待合室の中に、それも極めて中途半端な位置に一本の柱が存在したり(#5)、目障りなだけでなく狭すぎる通路(#3)、無駄に出っ張り、邪魔としか言いようのない壁(#2)などなど、醜悪なだけでなく著しく機能性を阻害する要素がてんこ盛りという印象でした。

そこで私から提案させていただいた修正案がこちらです。黄色の線は却下すべき壁で、その代わりに新設すべき壁を青い線で示しています。構造的な検証も当然、行なった上での設計です。なお、図面には910mmピットのグリッドを施しています。これは材料費の無駄を極力排除し、工事費を低く抑えるための工夫を常に心掛けているからです。

上図をもとに最終案を清書したのがこちらです。

両者を改めて比較してみましょう。


無駄な出っ張りや引っ込み、邪魔な柱や壁、こういったものがそもそも設計に盛り込まれてしまうことが、正直、私には理解に苦しむところです。プロとしてこのような設計士や工務店が存在することに、この国の建築業界のレベルの低さを改めて痛感した事例となりました。

来月からは工事の様子をお伝えしたいと思います。


デザイナー 小野清一郎 2019年9月1日 リノベーションについて一覧

輸入住宅のことならV.D.H.にお任せください。

設計にお困りの方もV.D.H.におまかせください。