匠ブログ

開口部の位置と大きさに関して(その1)

デザインをする際、私は開口部(扉や窓)の位置とサイズに非常にこだわります。そのため、間取りよりも、先ずはファサード(建物の正面)から必ずデザインしています。

仮に扉1枚と窓3枚を例にして比較してみましょう。下の例で最も美しいデザインはどれでしょうか?

開口部デザイン

四者とも玄関扉の位置と大きさは同じですが、Aは、窓の位置とサイズが共にバラバラです。Bは、窓のサイ ズは統一されていますが、位置がバラバラです。逆にCは、窓の位置には一定の規則があるものの、大きさがまちまちです。最後のDは、窓のサイズを揃え、水 平方向の位置も一定の規則性を保っていて、なおかつ扉の高さに一致させて垂直方向が規定されています。

いかがですか? 非常に基本的なことですが、印象は随分異なりますね。

設計をする際、間取り、つまり家の内側からデザインすると、往々にして窓の位置や大きさが必然的に決まってしまい、外から観察するとAからCのように不調和をきたしがちです。

しかし、Dのように開口部にある一定の秩序を与えると、デザイン全体にリズム感や清潔感が生まれるだけで なく、『家相の良さ』すら感じられるようになります。表通りに面したファサードだけは最初にデザインを決定することが非常に重要なことが、御理解いただけ るのではないでしょうか。

日本の設計士は間取り優先で設計することが多いのですが、欧米のデザイナーは必ずファサードからデザインし、そこで決定された開口部に合わせて部屋割りし、後追いで間取りを決めていきます。

家の内側からと外側からとでは、設計の方向性が全く逆だと言えます。彼等がファサードのデザインを最優先 する理由は、それがいかに資産価値のサスティナビリティ(永続性)に影響を与えるか、ということを充分に理解し、周知徹底されているからです。もし、Aか らDの家が同時に販売されたなら、どの家が最初に売れるでしょうか?言い換えるならば、どの家が最も市場受けが良いでしょうか、ということです。結果は新 築の場合だけでなく、中古住宅としての再販時においてもかわりません。これが『資産価値のサスティナビリティ』の本質なのです。


デザイナー 小野清一郎 2012年5月1日 デザインについて一覧

輸入住宅のことならV.D.H.にお任せください。

設計にお困りの方もV.D.H.におまかせください。