匠ブログ

開口部の位置と大きさに関して(その2)

前回、開口部の位置と大きさが建築物の資産価値に与える影響について言及しましたが、今回はさらに住宅街での近隣住区への影響について拡大して考えてみましょう。

次の図はそれぞれの家が無秩序な開口部で設計されています。

開口部デザイン

日本に住む私達にはすっかり見慣れてしまった光景ですし、上記のモデルでは全て建物の外形が同一なので、 スカイラインが整然としています。このためさほど違和感を感じない方もいるかもしれません。しかし実際には、屋根の形や色や仕上げ、壁の大きさや色や仕上 げ等々、多くの要素の違いから、この街並は非常に雑然として混沌とした状況を呈していることでしょう。

でも、もしそれぞれの家が開口部の位置と大きさに配慮してデザインされているならば、下図のようにかなりスッキリとして、統一感のあるストリート・スケープを形成することができます。

開口部デザイン2

上のそれぞれの家は、玄関の位置が異なり、間取りは全て異なるケースを想定しています。開発業者による大 規模開発ではなくても、地域で建築協定等を作り、しっかり管理していくと具現化することができます。こういった街並は、古くなっても人々を魅了し続け、需 要が持続します。美しい街には誰もが住んでみたいと思うものです。こうして、住宅街一帯にも資産価値の差が生じることになります。

最後に、「これではどの家もみな同じで、個性がないではないか。」と懸念される方に、とても有名な事例を 紹介します。サンフランシスコのアラモ・スクエアという一角には、実に個性的なビクトリアン・ハウス7棟が軒を連ねています。どの家も際立つ個性を主張し ながらも、開口部の秩序を守ることで、統一感と一体感、そしてなによりも世界中の人々を魅了し続ける美しいストリート・スケープを形成しています。当然、 100年経とうとも、住みたくとも住めない程の人気と価値がそこには永続しているのです。

アラモ・スクエア


デザイナー 小野清一郎 2012年6月1日 デザインについて一覧

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