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住宅地(ストリートスケープ)の連続性と一体感・統一感
以前、このブログにてストリートスケープの統一感のツボは屋根材に在り(2013年7月号)、とお伝えしましたが、もう一つ大事なポイントがあります。それは外構です。外構の設計デザインを近隣街区で共通化・共有化することが美しい街並みへの必須条件であると私は考えているのですが、この日本ではどこのお宅も独自の外構デザインを導入してしまうため、どうしても通りがゴミゴミした感じになってしまいます。
画像1枚目は、母屋のファサードの方向性にこだわった例として以前紹介した物件の原状(工事前の様子)です。この住宅街の開発当初は、全ての区画が大谷石の石垣で統一されていたことが周囲の様子(画面右手奥)から窺い知れました。しかし残念ながら、いずれかの時点で画像のような塗り壁に改築されてしまったようでした。
二枚目の画像は、外構工事が竣工した様子です。ご覧のとおり、既存の塗り壁を撤去して、この住宅地が開発された当時の状態へ復元するという設計をいたしました。
次の画像は、復元した部分です。手前左側のお宅(お向かいさん)の大谷石の石垣と連続性と一体感・統一感が得られたことがわかります。美しい街並みを創り出すには、こういった周囲環境への配慮と建材の吟味が重要です。
もう一枚、別の角度から復元した部分を示します。この角度からも、画面向こうのお向かいさんのお宅との連続性と一体感・統一感が得られたことがよくわかります。
最後は車庫等の石垣を切り通した部分の処理の仕方を示します。切り通した場合も大谷石で巻き込んでいければそれに越したことはないのですが、現場の状況によっては他の建材を使用せざるを得ない場合もあります。このような場合は、慎重に建材を選択する必要があります。
今回の現場は明治建築を目指しましたので、ご覧のようなレンガ積みで仕上げました。レンガは時が経つにつれ深い味わいを醸し出してくれる建材です。現場の大谷石の既に枯れた感じと調和していくことが期待できます。
デザイナー 小野清一郎 2015年3月1日 リノベーションについて一覧