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チャイナタウンの賃貸マンション 3
横浜中華街の賃貸物件がいよいよ仕上げの段階に入りました。今回は大きな造作工事等はなく、仕上げ材の交換のみですので、カラーセンスに大きく頼る仕事となりました。
まずは玄関の土間の素材選びですが、現状の白い材料はすぐに汚れて劣化するので、濃い目の色調の物を選びました。しかし濃い目のものだけですと玄関全体が暗くなってしまうため、中間色のものも採用しました。こちらがサンプルです。御影石調の塩ビタイルですね。
この2種類の材料をチェッカー(市松模様)に貼りました。そして玄関ホールの壁紙は淡いグリーンとし、御影石の重量感を和らげる効果を出しました。
床材はやはりイメージを一新し、ダーク系のフローリング調クッションフロアを既存のクッションフロアに直貼りしました。玄関ホールと廊下の様子がこちらです
玄関の土間をモノトーンのチェッカーにしましたので、水回りであるトイレと脱衣室もモノトーンのチェッカーでコーディネイトします。私がよく使用する定番のクッションフロアです。
壁紙もそれに合わせ、淡いグレーで調和させました。
こちらは寝室です。パステルピンクの壁紙を使用し、廊下のグリーンとの補色効果でメリハリをつけます。
問題の巨大な梁の処理ですが、あまりに巨大だったため天井の一部と考え、天井用のスタッコ(吹付け調)のクロスを張り込みました。こうすることで圧迫感をかなり軽減する効果が得られるのです。
最後はメインであるリビング・ダイニングルームです。こちらは、パステル系の紫色のクロスを採用しました。日本語では藤色という雅な色のものです。そしてアクセントとしてキッチン周りのみを茶色い網代調のクロスをあしらいました。
これにより藤色の和の雰囲気を阻害することなく、工房のような雰囲気を演出し、調理としての作業性を際立てることにしたのです。
そしておかげさまで、当物件は公開当日に店子さんが即決で決まり、空室期間ゼロで売れました。通常の白いクロスで無難に修繕するのとは対極的に、非常に癖のあるコーディネイトで挑みましたが、中華街という場所柄からか、市場で好評を得られたのは大変光栄に存じます。冒険的なアプローチをすんなり受け入れてくださったオーナー様には心より感謝いたします。
さて、いかがでしたか。今回採用したクロス(壁紙)は全て量販品と呼ばれる最も低廉な価格のものばかりです。しかし、印刷技術の進歩で、現在は非常に多くの色調やテクスチャー(風合いや肌触り)の製品が市場に溢れるようになりました。
膨大な数の選択肢から最良のコーディネイトを選考し提供できるよう、私は日々、カタログやサンプル台帳と睨めっこしています。
デザイナー 小野清一郎 2021年12月1日 リノベーションについて一覧