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高層タワーマンションのリノベーション 8
東京都内の高層タワーマンションの最終回です。いよいよ竣工の様子を報告いたします。
まずは、玄関ホールから廊下の様子です。大きく変更したのは、向かって左側にあったバスルームへの入口扉を廃止したことです。入浴のたびにわざわざ廊下を通って玄関ホール前まで経由しなければならないといった不便で不自然な動線を断ち切りました。バスルームへは寝室から直接アクセスできるようになりました。
また、奥の右側の扉はトイレへの扉ですが、今回、バスルームにもオーナー用のトイレを追加したので、こちらのトイレは来客専用となりました。これにより生活動線はさらに利便性が向上しました。
そして向かって左側の扉がパーティールームへの扉になります。
こちらが来客用トイレに新設したヴァニティです。元々はヴァニティがなく、日本特有のトイレタンク上部の給水栓で手洗いするタイプでした。高級感という点では非常に劣るので、ヴァニティを新設しました。
そして、手洗い付タンクが不要になったので、思い切ってタンクレスの便器にしました。さらに高級感がアップしました。パーティーに参加される御来客の皆さんにも高級感が伝わると思います。
ホール向かって左側のパーティルームへ誘う扉は斜に設置しました。こうすることで、扉を開いた時にパーティールームの対角線を視界に展開することができ、奥行きを最大限に発揮することができます。部屋をより広く見せる視覚効果があるのです。
さあ、扉を開いてみましょう・・・。
ほら、御覧のとおり奥行きを最大限に確保することで、部屋はより広く感じられるのです。さらに対角線上の一番奥にお施主様のプレジデント・デスクを置くことで、距離感を最大化しています。エグゼクティブの部屋で私がよく採用する手法です。オーナーが奥行き深く着座することで、権威感をより一層高める演出ができるのです。
お施主様の要望は、いろいろなセミナーも開催したい、とのことでした。そこでテーブルはエクスパンション付きとし、大型モニターも設置しました。
こちらはオリジナルカウンターから眺めた風景です。カウンターはリブ材を採用し、窓辺のバーティカルブラインドと調和するコーディネイトを実施しました。カウンタートップは人造大理石なのですが、テーブルのマーブルとネガティブな色調とし、全体にモノトーンのアクセントとしました。家具や照明器具や空調機械も含め、要所要所でブラックを使うことで引き締め感を効果的に活かしました。
カウンターからブックシェルフを眺めた様子です。カウンター奥のワイングラスホルダーも今回は特注で製作しました。透明感がうまく表現できました。
カウンターの背後には全面開口が可能な建具を設置しました。この奥はマスタースイート(バスルーム付のベッドルーム)になります。
この建具を全面開口するとさらに巨大な空間となります。
私もプレジデント・デスクに座らせていただきました。扉を開けて入室する来客と目が合う位置関係で、エグゼクティブのための部屋では定石的に採用しているレイアウトです。
撮影当日は天候の関係で、窓からの高層ビル群の夜景を収めることができませんでした。私の狙いどおり、まるでマンハッタンのマンションの一室のような風景を実現化できました。お主様にも大変喜んでいただき、空間デザイナー冥利に尽きるお仕事でした。
来月からはビル建設の報告をしたいと思います。
デザイナー 小野清一郎 2022年10月1日 リノベーションについて一覧