リノベーションについて

横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様 2

先月から連載を開始した横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様を引き続き紹介いたします。

先月は購入された物件の外観を報告いたしましたが、今月は内装の様子を紹介いたします。まずは元々の間取りを表す平面図をお示しします。


ごくごく普通の一般住宅の間取りです。洋室は8番、9番、10番と3つ配置されているので、いわゆる3LDKということになります。

そして各室内の画像が次のとおりです。






極めてごくごく平凡な室内の様子です。これを歯科医院へ変貌させようというのが今回のミッションです。来月からの匠ブログをお楽しみに。


デザイナー 小野清一郎 2026年4月1日


横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様 4

横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様の事例を紹介しています。

問題の抽出が終わったところで、設計と解体を開始します。現場は解体工事に入りますが、その間に設計を詰めていくという現場とオフィスとの並行作業に入りました。

解体の様子を御覧いただきます。まずは室内の壁を撤去していきます。


天井を撤去してみると、天井裏には重量鉄骨造に特有のブレースと呼ばれる補強材が設置されていました。


ブレースだけでなく、構造の主役である鉄骨の梁もしっかり鎮座しています。


そして天井裏といえば定番の各種配線配管群ですが、当然ながら縦横に走り回っていました。


天井高は1ミリメートルでも高く採るのが、私の住空間に対するこだわりです。それについては以前のブログでもお伝えしました。今回の物件では、非常に条件が厳しいことが判明しまた。しかしながら、それでも可及的に天井高を上げる工夫を施していきたいと思います。


解体工事は順調に進んでいきました。来月に続きます。


デザイナー 小野清一郎 2026年6月1日


横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様 5

横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様の事例を紹介しています。

天井高は1ミリメートルでも高く採るのが、私の住空間に対するこだわりであるものの、今回の物件では天井裏の構造から非常に条件が厳しいことを前回の匠ブログでお伝えいたしました。そこで、天井を現状より上げられない以上は、床を少しでも下げて天井高を稼ぐ戦略へと切り替えました。

床を下げる戦略で採用する戦術にはいくつかありますが、今回の現場では既存の基礎をそのまま使用するため、基礎部分で下げることはできません。そこで採用したのが「根太レス工法」です。

根太レス工法について説明します。木造建築の構造を垂直方向に追ってみますと、まずは基礎があり、基礎の上には基礎パッキンという通気用のスペーサーが乗り、その上に土台が乗っています。土台だけでは土台同士の距離が遠すぎて床が張れないため、土台と同じ高さに大引(おおびき)という構造材が土台と土台を梯子状に結合するように接続されます。大引は床束(ゆかづか)という、基礎と同じ高さの下駄のような資材の上に乗る形で設置され、床下空間で宙に浮いています。

土台と大引は床を支える構造材で、通常はさらにその上に「根太(ねだ)」と呼ばれる、やはり梯子状の骨組み材が乗ります。
この根太による骨組みの上にさらに床の下地用合板を敷き詰め、床下地が完成することになります。

しかし根太レス工法ではこの根太による骨組みを排除し、構造用合板の床下地材を直接土台と大引に設置します。こうすることで工期の短縮と材料費の節約が達成しますが、副次的な効果として根太の高さ分、床位置を下げることが可能になります。私にとっては副次的な効果というよりも、本来の目的として採用する手法です。

実際の画像で比較してみましょう。左の画像はオリジナルの玄関の様子です。土間からサンダルが置いてある床まで、日本独特の文化である上り框分の高低差があります。

それに対し右側の画像が根太レス工法を応用し、既存の根太を撤去して土台に直接床下地を張り込んだ様子です。玄関の土間と床の高低差が縮まったのが御理解いただけますでしょうか。


こうして1センチでも天井高を高くする努力をすることで、快適な住空間を創造することが可能になります。来月に続きます。


デザイナー 小野清一郎 2026年7月1日


横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様 6

横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様の事例を紹介しています。今月は下地の進捗を紹介いたします。

床の下地が貼り上がりました。


天井の下地も貼り上がりました。天井を上げられなかったのは、本当に残念でしかたありません。


下地を組んでいく中、どうしても避けられない問題も発生いたしました。それがこのパイプです。このパイプは2階の排水を落とす配管で、解体前はパイプスペース(PS)と呼ばれる壁に覆われた小部屋で隠されていました。しかし今回のリノベーションでは、診療室に露出してしまうことが判明したのです。PSを新たに設置することは業務エリアの面積確保から不可能でした。そこで逆転の発想でデザインとして取り込むことにいたしました。仕上げは後のブログで紹介いたします。


今から14年前にこの匠ブログを始めた当初、第二話として「隠蔽配管のお勧め」という記事を執筆いたしました。私は常にエアコンについては、室内機、室外機、配管の全てを隠蔽する努力をしています。今回の現場でも当然ながらエアコンの隠蔽に努めました。こちらは待合室のエアコンを収納する天袋です。


ただ残念ながら、全てのエアコンを隠蔽することは叶いませんでした。そのことは後でお伝えしたいと思います。

そして各間仕切りの下地も組み上がり、石膏ボードも貼り上がりました。


さて、外部では前オーナーが使用していたこのような物置が残置されていました。


かなり大きな残置物で、処分するにはそれなりのコストがかかるということで、有効利用することにしました。画像は、堅固なコンクリート盤を施工し、その上に物置をしっかり固定した様子です。さて、何に利用するのでしょうか。答えをお楽しみに。


デザイナー 小野清一郎 2026年8月1日


横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様 7

横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様の事例を紹介しています。先月は床の下地が貼り上がった様子を報告いたしました。そこでいよいよ床材を貼っていきます。

先ずは玄関土間に框を組んでから、床材を貼っていきます。


どんどん貼っていきます。


内装工事と並行して外部の工事も進めます。正面左側には植栽がありました。


この部分には看板を立て、駐輪スペースにするため、植栽を整理しました。


看板の支柱を立てます。


隣地との境界部はコンクリート平板を敷き詰めて、舗装します。


馬踏み目地で仕上げるのが弊社のこだわりです。


駐車場の屋根部がカンチレバーになっているため、不安定感が生じている問題については当ブログのその3にて説明いたしました。

安定感を演出するため、屋根部を両側で支えるようなコラムを新設します。新設するコラムのための台座を、奥に設置されていた既存の台座に寸法を揃えて築造しました。


順調に工事は進んでいます。来月に続きます。


デザイナー 小野清一郎 2026年9月1日


横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様 8

横浜市神奈川区のドルチェデンタルクリニック様の事例を紹介しています。前々回のブログにて、下の画像の物置を有効利用したクイズを出しましたが、いかがでしょうか?


今月は正解をお伝えします。生憎物置の内部画像はないのですが、正解は、歯科クリニック特有の「機械室」です。一般住宅と異なり歯科クリニックでは、診療台に接続するエアコンプレッサーやバキューム(歯医者さんのあの吸引機ですね。)といった特殊な設備のセントラル機器を設置するスペースを確保しなければなりません。しかも近隣への騒音の配慮も必要です。通常は屋内に専用スペースを設置することが多いのですが、本物件では診療室の面積を最大限に利用するため、機械室は外部に設置することになりました。かといって増築の建築確認を取得する暇はありません。そこでこの物置の内側にインシュレーター(消音装置)を設置して、内部に機械類を収納いたしました。駐車台数を減らさぬよう、建物ギリギリへ追い込むことで全ての課題を解決いたしました。残地物ですが、今回の物件では非常に有効な利用ができました。前の家主様に感謝です。

さて、輸入住宅を得意とする弊社では、扉や窓の開口部には必ずケーシングを施すことを推奨しています。ケーシングは額縁とも訳されますが、単なる額縁に終わらず、扉や窓を将来に渡り交換しやすくする重要な部材です。万が一、扉や窓を交換する必要が生じた場合、ケーシングを撤去することで壁の破壊を最小限に留めることが可能になります。

そしてこの工法は欧米の建築では必ずといってよいほど採用されているため、輸入住宅系のマストアイテムとなっています。

例えば、こちらはトイレの扉となる部分ですが、この開口部へケーシングを設置すると右の画像のようになります。たったこれだけで、飛躍的に高級感がアップします。


今回の現場で私が最もこだわった部分が、この壁の取り合いです。診療室側から見た画像ですが、右側の開口には待合室との間仕切扉が設置され、左側の開口部は受付や消毒室などのバックヤードとの間仕切りになります。ケーシングによりシンメトリーがさらに強調され、美しい動線展開を演出してくれました。


開口部それぞれの裏側にも当然ながら、ケーシングを設置します。


全ての窓にも設置します。


大きな裏庭への掃き出しサッシュや玄関にも設置します。


その分のコストは勿論かかりますが、それ以上の価値があるものと私は確信しています。

来月に続きます。


デザイナー 小野清一郎 2026年10月1日