リノベーションについて
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横浜市神奈川区の細田歯科医院様 10
横浜市神奈川区の細田歯科医院様の事例ですが、先月お示しした原状を早速解体撤去いたしました。
毎度のことですが、既存のトイレだけは工事関係者が仮設トイレとして使用できるよう、あえて残しておきます。
来月からは2021年。引き続き工事の様子を伝えていきたいと思います。
今年はコロナで始まりコロナで終わりそうですが、来年こそは感染が収束して健やかな年になることをお祈りしています。今年一年、御愛読、誠にありがとうございました。
デザイナー 小野清一郎 2020年12月1日
横浜市神奈川区の細田歯科医院様 11
新年、明けましておめでとうございます。新しい年が始まりましたが、当ブログは昨年から引き続き横浜市神奈川区の細田歯科医院様事例を紹介して参ります。
昨年は、解体が完了しスケルトンとしたところまで紹介させていただきました。今月は間仕切りの様子をお伝えします。
まずは間仕切りの骨組みとして軸組していきます。
次に石膏ボードを軸組に貼っていきます。
今回の事例で、私が意匠にこだわった部分はこちらです。「スキップフロア」という手法を応用しました。スキップフロアは、数段の階段を室内に設け、連続する部屋の床の高さにあえて変化を持たせる設計手法です。
バリアフリーが標準化している昨今では、あまり見かけなくなった設計なのですが、今回の現場では、水を多量に使用する歯科診療室とバスルームについてはそれなりの床下配管を設置しなければならないので、どうしても躯体の床面からこれらの部屋の床を浮かせなければなりません。
そこでスキップフロアを応用することで、水を使用しない他の部屋との床高さの差異を解消することにしました。こうすることで水を使用しない部屋の天井高を高く確保できるわけです。
横浜市神奈川区の細田歯科医院様 12
横浜市神奈川区の細田歯科医院様がいよいよ大詰めです。
間仕切りができた段階で、窓を二重サッシュ化しました。すぐそばに京浜急行が走っていて騒音を解消したいとの要望にお応えました。
クロスと床張りも進めます。
私がこだわったスキップフロア部もだいぶ仕上がってきました。
こちらは入口入ってすぐの階段脇に設置した手摺です。
同じ仕様のパーテーションを診療台と診療台の間に設置します。
来月は仕上げの終盤をお伝えします。
デザイナー 小野清一郎 2021年2月1日
横浜市神奈川区の細田歯科医院様 13
横浜市神奈川区の細田歯科医院様の3階への増築工事が竣工しました。まずは入口ドアですが、こちらは2階と全く同じデザインでまとめました。これにより空間の連続性を保ちました。
入口ドアを開くと2階とは全く異なる世界が展開します。
階段を2段上がって診療室に入ります。
診療室の大壁には、この抽象画をあえて額装なしで導入しました。クラシックな意匠と現代的な意匠をあえてミスマッチさせ、ここでも2階の意匠との融合を図ってみました。
診療台(歯科用ユニット)は2台設置されるとのことで、それぞれをこのパーテイションで分けました。上部を開放していますので、閉塞感はありません。
窓側の診療エリアです。
もう一方の診療エリアには収納と手洗い等のために設備を配置しました。
二つの診療エリアの間の扉からスタッフルームに入ります。スタッフルームにはロッカーと備品の貯蔵棚を設置しました。
診療室のキャビネット左側の扉からは医局に入ることができます。扉を開けるとこのような光景になります。
医局側から診療室への扉とバスルームへの扉を眺めた光景がこちらです。私がこだわったスキップフロアーの部分です。医局にはミニキッチンを設置しています。
向かって右側の扉からバスルームになります。バスルームはミニマリズムでまとめてみました。診療所としての衛生用品のストックも大量に収納できるように設計しました。
医局に戻ります。ミニキッチンと反対側の壁には大型TVを設置しました。このレイアウトは、診療室の額装なしの抽象画とイメージのリンクをさせています。双方の統一感と共通感から全体の調和を感じられるよう配慮しました。
TVの左の扉からは院長室になります。院長室のクローゼットドアはドレッサーとしての機能を持たせ、鏡扉としました。
そして、診療室、医局、院長室の全ての窓にはウッドブラインドを導入させていただきました。高価ですが、スラットを支えるテープまでコーディネイトでき、非常に高級感を演出することができます。
細田先生、竣工、おめでとうございます。歯科医院の事業拡大を心よりお慶び申し上げます。これからも地域医療に多大な御尽力をいただけるものと期待しております。
デザイナー 小野清一郎 2021年3月1日
特殊なミッション 3
ホンダ・オデッセイのカスタム報告をお届けしています。今月は外装に手を加えましたので、その話題です。
弊社で採用したグレードの車種には18インチのホールが標準装備されていました。ホンダらしいかなりスポーティな味付けの仕様で、非常にタイヤ厚が薄いため路面のショックがダイレクトに車内に伝わり、乗り心地が硬すぎるという嫌いがありました。
ところがラインナップでは、下のグレードに17インチ仕様のものもあるのです。
早速、ディーラーに伺いこの純正の17インチホイールとタイヤのセットのお見積もりをお願いしたところ、さすがはメーカー純正品。とてもとても手が出ないお高い金額でした。
そこで、社外品の中から価格が手頃で純正品のデザインに近いものを探したところ、M I Dというメーカーさんが作っているR M P 016Fという商品を発見しました。それがこちらです。
ここまでは普通にホイール交換をしただけのお話になってしまいますが、ここからがV.D.H.の本領を発揮します。
ホイールに続き、E Cサイトでこちらの2種類の商品を購入しました。
これらの商品をM I Dさんのホイールに使われているセンターキャップに加工して取り付けました。こちらがホイールに戻した状態の画像です。バッチリ純正ホイールのようになりました。
実車にホイールとタイヤを装着します
それなりにホンダ純正のホイールを履いているような雰囲気を出せたのではないでしょうか。
来月はまた内装をいじりたいと思います。
デザイナー 小野清一郎 2021年6月1日
特殊なミッション 4
ホンダ・オデッセイのカスタム報告の続きです。
本来は3列シートの車なのですが、常時3列目のシートを格納し、2列目のシートを最大限後退させて広い居住空間を活かした使い方をすることとしました。
ただその場合、2列目のシート用に用意されたカップホルダーは、こんなに遠のいてしまいます。
かと言って3列目用のカップホルダーを使おうにも位置が後ろすぎて、非常に使い勝手が悪いのです。
そこでカップホルダー付きのテーブルを自作することにしました。まずは3列目用のカップホルダーの型取りをし、アクリル樹脂で充実型のアンカーを作ります。
このアンカーに基台となる金物を取り付けます。
そして3列目用のカップホルダーに装着します。ぴったりフィットしました。
次にテーブル部の設計を行います。本来は建築設計を生業としているので、この程度の三面図は朝飯前といったところでしょうか。
加工屋さんにアクリルで切り出しと製作をお願いし、テーブル部が出来上がりました。
このテーブルに蝶番とアルミステーを取り付けます。
そしてステーを先程の基台に挿入します。
できました。このようなカンチレバー式のテーブルの完成です。
使用しない時はこのように格納できます。カップホルダーの脇にシガーライターソケットがあったので、そこにLEDの読書灯を装着しました。
どうですか?旅客機のファーストクラスとは言わないまでもビジネスクラスくらいの雰囲気ではないでしょうか。
さて、問題はこれからです。構造がカンチレバーなので、耐荷重テストをしなければなりません。旅客機のビジネスクラスといえば、ドリンクとおつまみが定番なので、それらでテストしてみました。
テーブル部には全く問題なかったので、ステーをめいいっぱい延長して、さらに試験しました。こちらも合格です。
ミッション・コンプリーテッドです。完成しました。
デザイナー 小野清一郎 2021年7月9日
特殊なミッション 5
ホンダ・オデッセイのカスタム報告が続きます。
先月、旅客機のビジネスクラスを目指したテーブルを紹介しましたが、シートベルトも旅客機タイプの二点式シートベルトを導入しようと思いつきました。
早速、部材を購入してみました。バックルのフラップをカパッと開いてバックルプレートを解除する、あの飛行機でおなじみのシートベルトです。
シートベルトは、バックル側とバックルプレート側の2つの部品で構成されています。まずはバックルプレート側のベルトを車両に元々備わっているプレート側のベルトと根元の部分で緊結しました。
次にバックル側のベルトです。やはり車両本体に固定されている標準仕様のバックル部材と緊結すればよいわけです。
ところが、この作業は非常に難儀しました。シートとバックルが近接しているため、固定のためのボルトとナットが収まらないのです。
結局、シートの基台部を分解してから両者を固定し、再度組み戻す、といった作業工程が要求されました。
苦労しましたが、無事に取付が完了です。
今回は二点式シートベルト(旅客機タイプ)の追加を報告いたしましたが、標準仕様の三点式シートベルトより簡便で、肩への拘束がないため、非常に快適です。ただし走行中は、旅客機に乗っているというより、高速バスに乗っているような錯覚を感じます。(笑)
来月はさらに進化させたカスタムを紹介いたします。
デザイナー 小野清一郎 2021年8月1日
特殊なミッション 6
ホンダ・オデッセイのカスタム報告最終章です。旅客機のビジネスクラスを目指した内装カスタムのいよいよ総仕上げに入っていきたいと思います。
旅客機の各クラスでの違いとして、席周りの空間広さのほかにキャビネット(物入れ)やモニターの大きさが挙げられます。
そこで弊社の社用車にも専用設計のモニター台キャビネットを製作することにしました。まずは完成図と各構成部材の三面図を作りました。
図面どおり各部材を切り出して、組み立てました。車内に仮組みしている状態です。
扉の可動性も問題ありません。
次は塗装工程です。内装色といくつかのサンプルを比較し、最適な塗料を選択します。
塗装が完了しました。
いよいよ車内に固定です。キャビネットの天板は車内に使用されいている木目調パネルに近いフィルムを選択し、施工しました。そして、モニター固定用のブラケットも設置しました。
標準のナビゲーションシステムからテレビ放送用のHDMI信号を取り出します。
車内Wi-FiとAppleTVも装備しました。
キャビネットの中には、諸々のブラケットを組み込んでいます。こちらは後のお楽しみです。
モニターがインストールされました。感動の瞬間です。
ナビゲーションシステムからの映像・音声は問題なく出力されました。
最新のAppleTVは8Kコンテンツを再生可能ですので、モニターも8K対応にしました。素晴らしく高細精の映像を楽しむことができます。
車両のポジション照明と連動して、間接照明も点灯します。妖艶な雰囲気を演出できました。
さて、気になるキャビネットの中身ですが、左側はワイングラスやウイスキーグラスなどを収納させました。右側にはワインとウイスキーを入れていました。これでミニバーとしての機能も備えた移動執務室の完成です。
デザイナー 小野清一郎 2021年9月1日
チャイナタウンの賃貸マンション 1
横浜市中区には日本有数の中華街(チャイナタウン)があります。そこでは御存知のとおり膨大な中華料理店が軒を連ね、通りを埋め尽くしています。これらの中華料理店は当然ながらビルの1階に入居していますが、2階より上は賃貸住宅として運用されていることが多いことはあまり知られていません。
今月はそんな賃貸マンションとして運用されているビルのオーナー様から依頼されたお仕事を紹介したいと思います。
依頼内容は、「ビルの竣工当時から入居されていた店子が転居したが、長年の使用により内装が非常に汚れてしまったので、綺麗にして欲しい」というものでした。このような要望であれば、単に量販品の壁紙を張り替えるだけなのでは、と思いましたが、事情はどうもそんな簡単な話ではなさそうです。
中華街は横浜市の中心部に位置し、賃貸物件としては非常に立地条件がよいのですが、あのひしめき合うビル群に大量の物件が存在するため、価格競争が激化してなかなか新規の店子が見つからない、というのです。そこで弊社に、「通常とは違う手法でのリノベーションを提案して欲しい。そして賃貸価格を下げずに店子が見つかるような付加価値を与えて欲しい」との要望だったのです
まずはいつものとおり、原状を紹介します。こちらは玄関扉周り。
玄関の土間はこちら。かなり床材はくたびれていますね。
玄関の壁と天井のクロスはこのような状態でした。
玄関と寝室、バスルーム、そして居間を結ぶ廊下がこちら。この物件は鉄筋コンクリート造特有のラーメンと呼ばれる梁が存在するのですが、この梁が通常よりも太くて大きいのがこの物件の特徴でした。壁紙を貼り替える際には注意が必要な部分として認識しておきました。
こちらは寝室です。
寝室のクローゼット 周りの様子がこちら。やはり巨大な梁が鎮座しています。
とにかくこの物件は巨大な梁が方々に存在し、クロスの貼り分けに注意を要する物件だということが判明しました。その証拠に竣工させたゼネコンは天井も壁も梁も全て同一のクロスを貼っていました。
来月は、メインの居間等の原状をお伝えします。
デザイナー 小野清一郎 2021年10月1日
チャイナタウンの賃貸マンション 2
横浜中華街の賃貸物件の続きです。先月は玄関、廊下、そして寝室の原状をお伝えしましたが、今月はバスルームとメインのリビングダイニングルームの様子をお伝えします。
まずはバスルームのクロスの様子です。だいぶ汚れていてくたびれています。換気扇や洗面台等の設備も老朽化しているので、すべて新調することになりました。
そしてこちらが、リビングダイニングルームです。
やはり巨大な梁が存在します。
そしてこちらがキッチン周りです。床も相当汚れていました。
最後にキッチンの状態を見ていただきます。老朽化していますので、丸ごと交換することになりました。
今回の物件では大きな間取り変更等のリノベーションはなく、クロスの張替え、設備の交換といった単純なメインテナンスのみで対応することになりました。
ただ、床材だけは張り替えると大変な費用がかかるため、原状の床の上に増し貼りすることにしました。
来月は竣工の様子をお伝えします。
デザイナー 小野清一郎 2021年11月1日
チャイナタウンの賃貸マンション 3
横浜中華街の賃貸物件がいよいよ仕上げの段階に入りました。今回は大きな造作工事等はなく、仕上げ材の交換のみですので、カラーセンスに大きく頼る仕事となりました。
まずは玄関の土間の素材選びですが、現状の白い材料はすぐに汚れて劣化するので、濃い目の色調の物を選びました。しかし濃い目のものだけですと玄関全体が暗くなってしまうため、中間色のものも採用しました。こちらがサンプルです。御影石調の塩ビタイルですね。
この2種類の材料をチェッカー(市松模様)に貼りました。そして玄関ホールの壁紙は淡いグリーンとし、御影石の重量感を和らげる効果を出しました。
床材はやはりイメージを一新し、ダーク系のフローリング調クッションフロアを既存のクッションフロアに直貼りしました。玄関ホールと廊下の様子がこちらです
玄関の土間をモノトーンのチェッカーにしましたので、水回りであるトイレと脱衣室もモノトーンのチェッカーでコーディネイトします。私がよく使用する定番のクッションフロアです。
壁紙もそれに合わせ、淡いグレーで調和させました。
こちらは寝室です。パステルピンクの壁紙を使用し、廊下のグリーンとの補色効果でメリハリをつけます。
問題の巨大な梁の処理ですが、あまりに巨大だったため天井の一部と考え、天井用のスタッコ(吹付け調)のクロスを張り込みました。こうすることで圧迫感をかなり軽減する効果が得られるのです。
最後はメインであるリビング・ダイニングルームです。こちらは、パステル系の紫色のクロスを採用しました。日本語では藤色という雅な色のものです。そしてアクセントとしてキッチン周りのみを茶色い網代調のクロスをあしらいました。
これにより藤色の和の雰囲気を阻害することなく、工房のような雰囲気を演出し、調理としての作業性を際立てることにしたのです。
そしておかげさまで、当物件は公開当日に店子さんが即決で決まり、空室期間ゼロで売れました。通常の白いクロスで無難に修繕するのとは対極的に、非常に癖のあるコーディネイトで挑みましたが、中華街という場所柄からか、市場で好評を得られたのは大変光栄に存じます。冒険的なアプローチをすんなり受け入れてくださったオーナー様には心より感謝いたします。
さて、いかがでしたか。今回採用したクロス(壁紙)は全て量販品と呼ばれる最も低廉な価格のものばかりです。しかし、印刷技術の進歩で、現在は非常に多くの色調やテクスチャー(風合いや肌触り)の製品が市場に溢れるようになりました。
膨大な数の選択肢から最良のコーディネイトを選考し提供できるよう、私は日々、カタログやサンプル台帳と睨めっこしています。
デザイナー 小野清一郎 2021年12月1日
ビルメインテナンス 1
新年、明けましておめでとうございます。新型コロナウイルスの感染がなかなか収束しないまま、新たな年を迎えましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
さて、以前紹介した横浜市神奈川区の細田歯科医院様から、再びお仕事の依頼を受けました。今回は、ビル全体のメンテナンスをして欲しい、とのことでした。特に外壁の塗装と防水を直したいとのこと。
外壁の塗装については、以前、弊社にて入口の改良と看板の新設をお手伝いさせていただいたのですが、1階に店子として入っているラーメン店がどうしても目立ち過ぎているのが気になる、歯科医院のビルであることをアピールしたい、との要望が寄せられました。承知いたしました。早速現状の確認から開始します。
確かに中華料理店にありがちな極彩色の佇まいが強烈な印象を与えていますね。こちらは、正面向かって右側の側面観です。やはり歯科医医院とラーメン店双方の看板が喧嘩してしまっています。
こちらは建物の裏側の様子です。
ラーメン店が独自に御影石調のパネルを建物の一角に貼っていました。色彩が全体と全く調和しない不自然な構造物です。
しかし、暫くこのパネルを眺めていたら、私にはある閃きが生まれたのです。
こちらはストリートスケープの様子ですが、ビル全体が他のビル群と同系色なので、街に埋もれてしまっています。
特に背後の巨大なビルの外壁と非常に近い色調なので、同化してしまっています。
来月は塗装のプランニングについてお話しします。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
デザイナー 小野清一郎 2022年1月1日