リノベーションについて
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横浜市中区の賃貸マンション新築 2
横浜駅近くの賃貸マンション物件の続きです。当初、他社が設計したオリジナルプランがこちらです。
このプランでの問題点は「屋外避難通路」にありました。間口が5.5mと、十分に広いとは言えづらい現場ですが、1階にも2ユニットを確保するためには、手前に1ユニット、その奥に1ユニットといった奥行方向の配置を余儀なくされます。そのため奥のユニットのためにはどうしても通路を確保しなければなりません。法規上、屋外避難通路の幅員は1.5m確保しなければなりませんので、建設用地の手前半分は5.5m-1.5m=4.0mの間口で勝負しなければなりません。その結果、建物は旗竿のような形状となってしまったようです。
次の画像は4階のオーナー様の専有部を示したものです。屋外避難通路の空中部分は活用されず、空間に大きな無駄が生じています。結論として十分な居室空間を確保していません。これは2階・3階についても同様です。
さて、どうしたら奥行方向に配置した2ユニットの物件で、土地面積を最大限に活用した空間設計が可能になるのでしょうか?
来月はこの難題に対して私が提案した解決策をお示ししたいと思います。
デザイナー 小野清一郎 2023年2月1日
横浜市中区の賃貸 マンション 新築 3
横浜駅近くの賃貸マンション物件の続きです。先月、屋外避難通路を確保した既存プランが結果的に全ての階での居住空間を手狭にしてしまったという欠点をお伝えしました。そこで今月は、私がその問題を解決した採用プランをお伝えしたいと思います。
現場の敷地は間口が狭く奥へ深い、いわゆる「鰻の寝所」状の土地です。また、オーナー様の御要望は1フロアに2ユニットの賃貸物件を設計して欲しいとのことでした。鰻の寝所に2ユニットということは当然ながら手前に1ユニット、奥にもう1ユニットというレイアウトにせざるを得ません。
集合住宅ですから奥のユニットの賃借人にために進入経路を確保しなければなりませんが、不採用案ではその経路を屋外に設計し、さらに階段を建物内部の内階段として設計したことが居住空間を大きく犠牲にしていました。
そこで私は全く正反対のアプローチをしました。つまり、奥のユニットへの進入経路を屋内に設定し、階段を外階段としたのです。
そして各ユニットの玄関位置を半階ピッチとしました。これにより中2階構造のようなリズム感のある階段デザインを採用でき、エレベーションに躍動感を与えることができました。
では各ユニットも中2階構造にしたかというと、そこは施工費を圧縮するためにフロア数はそのままにしています。つまり手前のユニットも奥のユニットも同一の床面として一体構造としました。どうやって玄関部の高低差を解消したのでしょうか?
答えは屋内に設置した進入経路にあります。この部分を通常の廊下ではなく降り階段としたのです。こうして居室部分は1階下の隣家と同じレベルに復帰する立体的な動線を作りました。
こちらは全面道路から向かって右側のユニットの断面図です。右側のユニットは外階段で左ユニットより半階分上昇したレベルに玄関があります。しかし玄関を入って玄関ポーチからは半階分の内階段で下降することにより左側のユニットと同じ床レベルに復帰するわけです。
この設計により4階のオーナーの居室部分には晴れて敷地全体を有効に利用した広い空間を確保することができただけでなく、中2階のロフトを備えることもでき、大幅な増床を達成することができました。
来月からはいよいよ施工に入っていきます。
デザイナー 小野清一郎 2023年3月1日